(2015/4/19-18:05)
雨がトラックをぬらし、ほぼ無風のコンディション。日本人初の9秒台には難しい条件だったが、それ以上に桐生の走りには、本来の切れ味がなかった。10秒40の平凡なタイムで、100メートルでは2季ぶりで日本人に敗れる屈辱。桐生は「悔しい思いしかない」と率直な思いを吐き出した。
決勝のスタートで「体が重いのが分かった」。序盤に出遅れ、得意とする中盤の爆発力も欠き、持ちタイムで格下のケンブリッジを最後まで捉えられなかった。「いいところがなかった。出し切れなさがある」。不完全燃焼の走りを残念そうに振り返った。
冬季練習では、前傾姿勢で重心をスムーズに移動する感覚を磨き、3月のテキサス・リレーで追い風参考ながら9秒87の好タイムにつなげた。
だが、3位に終わった前日の200メートルと同様、上体が起きて、スピードに乗れなかった。土江コーチは「取り組んできた走りとは違った。トップギアでの練習が不足したかも」と首をひねった。
「10秒の壁」突破への期待に応えられなかったスプリンターにとって、収穫は2日間で4本のレースを難なくこなし、オフの体づくりの成果を確かめられたこと。桐生は不本意な結果にも「トップを取りたい気持ちが増した」と前向きに捉え、改めて9秒台をにらんだ。
[時事通信社]